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【書評】『スクールセクハラ』池谷孝司著

 この本は、繰り返される教師による性犯罪の実態を、できる限り被害者・加害者双方に取材して書かれたものです。筆者は共同通信の記者であり、内容は2013年に「届かない悲鳴ー学校だから起きたこと」と題して21の地方紙に連載されました。

 

スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか (幻冬舎文庫)

スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか (幻冬舎文庫)

  • 作者:池谷 孝司
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫
 

 

 本書を読んで、「まさか」と信じられない人もいるでしょうし、「自分も似たような経験がある」、「いや、私はもっと酷い目に遭った」という人もいるでしょう。また、「あの時体験したことは、あれは性犯罪だったんだ」と今更ながら気づかされる人もいるでしょうし、中にはすっかり記憶の彼方に押しやって封印していたはずの記憶の扉が開き、フラッシュバックに苦しむ人もいるかもしれません。

 学校教師から性的なアプローチを受けたことのない人にとっても、この本を読むことは被害者の悲痛な思いを追体験する辛さを伴うものになると思います。

 

 

 それでもなお、この本を皆さんに知っていただきたいと思うのは、「こんなことを言われたりされたりしたら、たとえ相手が恩義ある教師であっても、毅然と『嫌です』『やめて下さい』と撥ねつけていいんだ」「もしも被害に遭いそうになったら、大声を上げて誰かを呼ぼう」「不幸にして被害に遭ってしまったら、すぐに信頼できる大人(親や警察)に相談しよう」ということを子どもたちには是非とも知ってもらいたいし、私たち大人はそうならないように気を配り、子どもの様子がおかしいならそれに気付いて話を聞いてやり、決して子どもを責めることなく、警察や性被害の相談機関などに相談して解決に動き出していただきたいからです。

 

目次

 

要約

 本書に出てくる事例は、セクハラどころか深刻な性犯罪と思われるものもありますが、著者の池谷氏は敢えて「スクールセクハラ」という軽めの表現を用いることにより、被害者が相談しやすくなると考えているそうです。


 
 本書には、NPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止ネットワーク」(SSHP)の亀井明子さんと、その仲間の神奈川大学名誉教授の入江直子さんが重要な知識や考え方を提供しています。SSHPは大阪を本拠地とする、スクールセクハラに専門的に取り組む日本で唯一の団体で、亀井さんは以前は公立中学校の体育教師であり、校内でセクハラに遭った生徒たちを支援したために校内で孤立させられ、悪質な脅迫を受けた経験をお持ちの方です。それほどまでに、学校の現状を変えたくないという組織の圧力は凄まじいものがあるのです。亀井さんは、その事件をきっかけに、中学校教師の職を辞しています。

 

 冒頭、著者である池谷記者は「(スクールセクハラ)事件が個人的資質だけで起きているのではなく、学校教育の体質にその原因があるように思えてならない」「子どもの個性をのばすことや学ぶ権利を第一に考えるのでなく、教師が描く理想の型にはめようとする構図に問題があるのではないだろうか」と問いかけています。

 

 まずは、驚くべきエピソードを引用したいと思います。

かつて、ある教育委員会を取材した時、教師出身の職員は、机に向かう同僚たちを見回しながら小声でこう言った。


「この中に何人、教え子と結婚している人がいると思います?半分くらいはそうですよ。だから、私たちも大きなことは言えません。」


 教育委員会の職員はその多くを現場の教師出身者が占めている。そして、一定の期間が終われば、現場に戻っていく。(p.106)

 

 さて、本書にはいくつかの事例が4つの章に分けて詳しく語られています。「M教師」「特別権力関係」「部活動」「二次被害」。被害者や加害者の名前は全て仮名です。

M教師(問題教師を意味する隠語)

[ケースA]被害者:智子さん(事件発生当時高2) 加害者:山本(高校の担任教師)

 ケースAの智子さんは、進路指導の二者面談の際に担任教師に誘われ、驚いて断りきれないまま従ってしまい、カラオケ名目でホテルに車で連れ込まれて被害に遭いました。ズルズルと関係が続く過程で、加害教師は定期試験の問題漏洩や有名大学への推薦枠などを餌に、更なる交際続行を画策しました。智子さんの友人も、小学生のときに保健室で性被害を受けたことがあると吐露しています。大人になった智子さんは、池内記者と出会ったことで自分の過去の被害と向き合い、池谷記者の協力を得て加害教師と対決、心の傷を乗り越えようと試みました。

 

特別権力関係(指導のために付与された特別な権力を持つ教師と児童生徒の関係)

[ケースB]被害者:由美さん(事件発生当時小6) 加害者:鈴木(元担任教師)

 ケースBの加害者・鈴木は理系の真面目な小学校教師で25年のキャリアを持つベテラン、妻も教師でした。被害者の由美さんは転校生で、鈴木は半年しか彼女を担任していません。由美さんは母親と姉の3人家族で、友達作りが苦手だったことや、日曜日に暇で寂しかったこともあり、鈴木に特別に好意的な様子を見せ、元々児童たちを連れて休日に出かけることがあった鈴木と2人きりで毎週のように遊園地やボーリングに出かけるようになります。鈴木は管理職試験を何度も受けては落ちていることや、教務主任を任されたこと、妻とのすれ違いなどの状況も手伝って、ハートをあしらった手製弁当や「チュー券」をくれる由美さん(小学生)にのめり込んでいきました。

部活動

[ケースC]被害者:早苗さん(事件発生当時中2)  加害者:原口(剣道部顧問)
 加害者・原口は剣道全国大会出場を目標に掲げてスパルタ式指導を行います。女子部員たちをがんじがらめにし、言いなりにしていく手法は、1人1人を個別に控え室に呼んで鍵をかけ、徹底的に自分への忖度と服従を要求し、従わなければ不機嫌になり、指導をやめることをちらつかせるというものです。剣道の指導も過酷を極め、練習で倒れる生徒も続出しますが、大会で成果が出るため誰も止められなくなります。親が不審に思って抗議すると、生徒には口止め。密室個別指導は儀式化し、「三回回ってワンをしろ」「先生を信用して全てを任せられるなら、服を脱げ」「俺の指を咥えろ」「処女をくれるか」「死ねと言われたら死ねるか」と言われ、生徒たちは是非もなく「はい」と言って従うようになりました。被害者の早苗さんは死を意識するようになり、自宅マンションのベランダから飛び降りそうになったり、手首にカッターの刃を当てるまでに心が壊れます。卒業後、早苗さんの母親が気づいて調べ始め、早苗さん、仲間の真由さんと美雪さん、そして早苗さんの母親が原告となって原口と市を相手取り訴訟を起こします。後輩の保護者たちが訴訟を取り下げるよう言ってきたり、原口側に有利な陳述書を出したりしましたが、原告勝訴の判決が確定。

二次被害

[ケースD]被害者:清香さん(事件発生当時高1) 加害者:山下(国語教師、30代)

 被害者・清香さんは私立高校の1年生でしたが、夜中に毎日10通ほど、担任教師の山下からメールの着信がありました。内容は全く私的なもので、「清香ちゅわ〜ん♡♡」「きゃーかわいい♡」「俺と清香ちゃんは運命やんな?」「お風呂上がりか〜、俺には清香ちゃんが見える」等というもの。山下はやがて電話もかけてくるようになり、出ないと「わざと出ないのか」とのメール。そのメールを放置すると学校で呼び出されて叱責。その状態が1年続く間、清香さんは下校途中に山下の車に乗せられたり、日曜に図書館にいる時に差し入れをされるなどのつきまといを受け、次年度も担任が交代しないと知った時に母親に転校の意思を伝えます。直談判に行った清香さんの母親は、校長に好意をもたれてしまいます。保護者会には学校側に仕込まれたと思しき複数の保護者が「先生のメールで助かっている」「校長がんばれ」等と相次いで発言。一家は関東に引っ越し、清香さんは転校。その後提訴し、学校側が事実関係を認めたため和解。しかし母親は体調を崩しました。

[ケースE]被害者:中学校ラグビー部女子マネージャー3名 加害者:井口(ラグビー部顧問)

 SSHP代表の亀井さんが現役教師だった時に関わった事案。
 ラグビー部の女子マネージャー3人が40代の男性顧問・井口から1年にわたり、短パンの上から太ももをなでられたり、服の中に手を入れられたり、下着の色を聞かれたりして耐えられずに、亀井さんの同僚飯田さんのところに相談に訪れました。亀井さんは、親に話すよう3人に助言。親から学校に電話があり、校長・井口・被害生徒3名・それぞれの親たちで話し合いを持ちました。「井口先生は私たちの前から消えて欲しい」と訴える生徒たちに校長は「辞めさせられたら、教師の妻子はどうするのか」との返事。その後生徒と保護者が帰ると、管理職も含めた教師たちが「金目当てじゃないか」と口々に親を非難。校長は対応を放置して冬休み中は連絡を断ち、亀井さんたちは校長に質問状を送付。休み明けの職員会議では亀井さんと飯田さんが激しい吊し上げに遭います。生徒に協力した教師たちは、無言電話、自転車破壊、車のマフラーに砂を詰められるなどの被害に遭い、亀井さんには娘に危害を加えるとの脅迫電話が。校長に「自宅電話を逆探知してもらう」と告げると、脅迫電話はピタリと止みました。亀井さんは職員室内で完全に孤立し、「『亀井先生を殴れ』と顧問に命令された」と告げるラグビー部の選手も登場。やがて教育委員会の調査が入り、加害者の井口は他校に転勤に。転勤先でも同様の問題を起こした井口は、報道されたこともあり退職に追い込まれましたが、懲戒免職とはならず退職金は受けとりました。ちなみに井口は前任校でも問題を起こした過去がありました。

[ケースF]被害者:太陽君(事件発生当時小4) 加害者:公民館に派遣された男性教師 

 男児の事案。小学生の太陽君は、公民館で友達と遊んでいた時に“親切なおじさん”にボウリング場に連れて行ってもらい、その後みんなでスーパー銭湯の大浴場に行きましたが、その時に“おじさん”に体を触られたことを、1年後に家で突然思い出し、泣き出しました。その“おじさん”とは、公民館の子どもの世話をするために派遣された男性教師で、太陽君の母親が調べると、キャンプで男児の布団に潜り込むなどの行為がいくつも聞かれました。母親は小学校の担任教師に相談し、太陽君も話をしましたが、「あの先生はいい人です、立派な先生ですよ」と庇うばかり。教育委員会も「本人が否定しているから」と幕引きを図り、電話の会話を録音しようとして感づいた教委担当者からは責められ、警察は「証拠がはっきりしない」と動かず。太陽君の母親がSSHPに相談、太陽君は、事実関係が曖昧なまま加害教師が異動したことと、加害者を庇った担任教師に不信感を抱いて登校を渋り始めました。SSHP入江さんが教育長に会い、次年度の担任交代を依頼、教育長が対応を確約したことで太陽君は元気になり、次年度はクラス替えと担任交代。SSHP入江さんが紹介した弁護士により、加害教師から慰謝料支払いを勝ち取りました。

その他

◯娘の進学先に、かつて母親に加害した教師がいるケース。加害者が出世して教頭や校長になっている場合もある。母親が生徒だった時の被害もあり、教育実習先での被害も。母親は、弁護士を通じて校長に退職を迫り、成功。校長が“教育者”として各地で行ってきた公演活動が気になったために、教育委員会に事実を通報。娘は何も知らないまま高校に通っている。何十年も被害を抱え込んでいる人もいるが、時間の経過とともに事実の証明は難しくなる。但し、事実がはっきりすれば、年月に関係なく処分対象にはなり得る。

◯部活の指導者である校長に、校長室や車の中で中3女子が猥褻行為を受け、刑事裁判では不起訴になったが民事裁判では猥褻行為が認められて市が損害賠償を命じられたケース。被害者である女子生徒は様々な嫌がらせを受け、被害者を助けようとしたPTA会長も嫌がらせを受け、PTA会長の子どもまで脅迫を受けたため、会長の子どもは転校。

 

二次被害を防いで解決するための方策

  1. 公立校なら、校長が問題を知った時に校内で広げず、直ちに教育委員会に相談する。
  2. 被害者は周囲に広まることを望まないため、説明会は開かず、校内で知る人を最小限にする。
  3. 隠蔽はとんでもないことだが、情報管理は徹底させる。
  4. 校長や教育委員会は事実調査の素人なので、弁護士など専門家の入る調査委員会を作るのがベスト。

 

学校由来の性被害(スクール・セクシャル・ハラスメント)を防ぐために

教師と児童生徒の間に性被害が起きる背景

  • 学校は、教師が加害者になる可能性を児童生徒に教えたがらない。
  • 子どもは何がセクハラかわからない。
  • 教師は児童生徒に対して絶対的な権力を持っているのに、それに無自覚。
  • 子どもは大人に逆らってはいけないと思っているし、逆らえば酷い目に遭うとの恐怖心を持っている。
  • 同僚が悪いことをしていると気づきながら、傍観する教師が少なくない。
  • 生徒より教師、子どもより大人、女より男が上だと考える差別意識が教師にあるのでは?
  • 正しいスポーツ指導の方法を知らない教師が部活指導で生徒の根性に頼りがち。
  • そもそも日本の教師は生徒の体に触りすぎる傾向がある。
  • 学校という組織は外部の目が入りにくく、自浄能力が低くなり、組織防衛に走りがち。
  • 性被害に遭った者は、なかなか訴え出ることができず、加害者は加害行為を継続拡大できる。
  • 教師も親も、学校を「特別な場所」と考えている。
  • 元々日本はとても暴力(体罰)に寛容な社会である。

対策

以上の背景を踏まえ、対策として、

  • 密室で教師と児童生徒が2人きりにならないようにする。
  • 学校が教えたがらないなら、親が、「あなたの体はあなたのもの。大切だから、誰にも触られてはいけない。嫌だと言っていい。もしそんなことがあったら、信頼できる人に話して。私があなたの言うことを信用するから」と教える。Noと言えるようにする。
  • 大学の教員養成課程や新任研修、管理職研修でスクールセクハラを必ず学ぶ。学校でも定期的に研修する。毎年繰り返してこそ意味がある。
  • 教員は、自分が権力的な立場にあることを常に自覚する。
  • よく使われる手段は「車、携帯電話(スマホ)、部活動」なので、それらに注意する。携帯電話などでの個人的なやり取りは、ガイドラインを作り禁止すべき。
  • 子どもへの人権意識を高める。
  • 学校を聖域視しない。
  • セクハラの相談を受ける時、中立は加害者側になることを知る。
  • 問題が起きたら、正面から解決する。隠蔽は次の事件につながる。
  • 教員には、違う立場に置かれた人々と自由に意見交換ができるような環境が必要。
  • 事件が起きた時、警察の手が入ると速やかに事態が解決することが多い。
  • 調査は疑惑が出た段階で第三者委員会に任せ、校長に任せるべきでない。

 

著者・池谷孝司氏の考察

  • 教師の持つ権力を考え直すことで、日本の教育全体を見直せないか。
  • スクールセクハラには、日本の教師と教え子の関係性を示すヒントが凝縮されている。
  • 生徒を支配し、思い通りに人格を作り上げようとする教師の意識が子どもの権利を奪い、抑圧している。
  • 「先生は絶対に正しい」と信じ切らずに、自分の頭で考える子どもたちが増えて欲しい。
  • 日本人の自己肯定感が極端に低いのは、日本の学校教育の在り方が関係しているかもしれない。自殺者の多さにも繋がっているのではないか。
  • 子どもたちに、「理不尽な行為には毅然と『ノー』と言っていいと伝えたい。
  • 文部科学省に、教師の猥褻事件防止についての検討会議を設置して欲しい。
  • 全国の小中高校で、スクールセクハラの被害実態を子どもたちに書いてもらうアンケートを実施して欲しい。(千葉県・神奈川県の教育委員会は既に調査している)

 

巻末の解説をエッセイスト・タレントの小島慶子さんが、ご自身の経験を交えて書いていますが、小島さんご自身も、身体測定時に担任教師に体を眺められて胸の発達を揶揄された経験について述べています。

 

感想

 この本の副題は“なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか”となっています。この本を読んで私なりに考えた答えは、

  1. 大学はまだしも、日本の小中高校では、教師による児童生徒への性加害を防ぐ対策がほとんど取られていないから。
  2. 日本の小中高校における教育がそもそも権力的に行われていて、児童生徒は教師の言動を批判的に捉える余地がないから、だと考えます。
  3. また、本書で「何がセクハラかを知らないと訴えようがない」(p.256)とあるように、児童生徒側も教師も、何がセクシャルハラスメントに当たるか、はっきりとはわかっていない、ということもあると思います。

 

 「M教師」の章に描かれた教師・山本はあらゆる意味でだらしなさが感じられる人物で、あたかも生徒の側に誘うような雰囲気を感じた等と身勝手な自己弁護をしていますが(そのような感覚自体が性犯罪者にありがちな傾向です)、「特別権力関係」の章に登場する教師・鈴木は生真面目で、元々小児愛者でもありません。

 著者は全く触れていませんが、本書に描写された何人もの教師に共通して感じられるのは、親しい友人の存在が感じられないということです。鈴木に至っては、自分に好意を示した小6少女の存在で孤独を埋め合わせていたのが原因のように見えますし、逮捕・起訴により家族も元同僚たちも離れていったとはいえ、池谷記者から取材がてらに飲みに誘われることに嬉しくなってしまう有様です。

 一体、今の教師たちは学校の中にも外にも友人関係を結び、維持することが難しいのでしょうか。もしも彼らに親しい友人がいたのなら、どこかの時点で異変に気付き、「お前、最近おかしいぞ」とか「やめておけよ」と言われたのではないかという気がします。

 教師の皆さんは、できれば学校関係ではない所に身を置く友人を持った方が良いのではないかと思います。それができなくても、愚痴を零したり励ましあったりする仲間がいなければ、仕事も行き詰まることがあるのではないでしょうか。もしかしたら教職員組合の組織率低下と無関係ではないのでは、とも想像します。

 

 

 本書には書かれていない重要事として、日本の子どもたちへの性教育の欠如があります。

 小学校に警察官が来て「いかのおすし」を子どもたちに教えたりしていますが、防犯教育は殆どが「知らない人について行かない」といった類のもので、顔見知りから被害を受けそうになった場合、受けた場合を想定していません。

 まず幼少期から、「水着で隠す場所は他人に見せない、触らせない」、「もしもパンツの中を触られそうになったら、逃げる、大声を出す、親など信頼できる大人に伝える」といったことを分かりやすく教えていくことが、子どもを性被害から守ることになるはずです。年齢に応じて、性の知識と自分の身を守るための知識、他者をも尊重する態度を教えていくことが必要です。就学前は『いいタッチわるいタッチ』『とにかくさけんでにげるんだ』などのやさしい絵本を園や家庭で、就学後は学校は教師が悪いことをする可能性を児童生徒に教えたがりませんから、家庭が率先して子どもに教えなければならないのが現状です。

 子どもたちを性被害から守るための知識を身につける本は、不登校保護者会のブログで具体的に紹介されています。



 

参考までに、文部科学省が調べた公立学校教職員のわいせつ事案に関する平成29年の統計

わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況(教育職員)|平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果について(文部科学省)

わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況一覧(教育職員)|平成29年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果について(文部科学省)

 

 

以上、約300ページにわたる本の概要と読後感を取り急ぎまとめました。皆様がスクールセクシャルハラスメントについて知る一助となれば幸いです。

 

より詳しく知りたいとお思いでしたら、本書『スクールセクハラ』(幻冬舎文庫)を是非お読みいただき、さらに著者の池谷孝司記者が助力を仰いだ「スクール・セクシャル・ハラスメント防止全国ネットワーク(SSHP)」の亀井明子さんらが執筆した『スクール・セクシャル・ハラスメント』(八千代出版)を参照いただくことをお勧めします。

スクール・セクシュアル・ハラスメント

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最後に、SSHPのリンクを紹介します。大阪では毎週火曜日、東京では毎週土曜日に電話で相談を行っているようです。そのほかに弁護士の紹介や病院への付き添い、スクールセクハラ防止のための研修、教材提供も行っています。

 

SSHP全国ネットワークとは - NPO法人 SSHP全国ネットワークホームページ

Q&A「スクール・セクシャル・ハラスメント」|10代の人権情報ネットワーク「Be FLAT」

 

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