不登校保護者会

不登校の子どもを育てる保護者の会です。

発達障害や認知の問題などで不登校になった子たちに支援者が「寄り添う」とは?

話が成り立ちづらかったり、
認知処理や知的な問題で躓きやすい子らにどう寄り添うか。

不登校保護者会メンバーと児童精神科いえろき医師との対話を、多くの方に読んで頂きたいです。

 

きっかけは一冊の本に関するツイートでした。

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

 現在の支援スタイルは多くの場合(略)得意なところを見つけて伸ばしてあげる、いいところを見つけて褒めてあげる、という方向に行きがちです(略)

しかし“苦手なことをそれ以上させない”というのは、とても恐ろしいことです。

 

著者のこの主張に対して、いえろきさんから「対処がわからん!」と悲痛な叫びが寄せられます。

 

 

 ここから対話が始まりました。

 

精神科医には患者へ寄り添う当事者意識が必要だと思うんです。

家族や当事者に寄り添うことが出来る児童精神科医さんが増えると助かります。

@bewizyou1 

 

 

普段わたしたちが何気なく使っている、この「寄り添う」という言葉ですが、

そもそも「発達障害や認知の問題などで不登校になった子たちに寄り添う」とは、いったいどう説明すればよいのでしょうか?

 

寄り添いは、他者視点に立てることと認める・支える・大事にするが近いかなと。私の考える寄り添いは、他者視点に立てるかということに加え社会的想像力を持てるかということです。 

寄り添っていない例を挙げますね。

 

5歳のADHD幼児で保護者は投薬を望んでいませんが小児神経科開業医は製薬会社営業とともに投薬を勧めます。親が拒否すると医師は激昂しもう来なくていいと叫ぶ。その小児神経科はすべてのクライアントになんらかの投薬をすることで、発達界隈保護者には、かなり有名で問題視されています。

 

思春期女子が思春期外来にかかるも医師の前では過剰適応で丁寧に分析しながら話すのでまったく問題ないと判断され返され自殺未遂、1年余り部屋から出られなくなりました。

 

思春期の子が開業児童精神科医に初診時、家族の行動が気になることと学校行けないのは別問題だよねと説教され医療拒否、完全不登校に。

 

思春期の大変な状態の子どもに、君みたいな子はいずれ大事件を起こさないか非常に心配だと面と向かって言う児童精神科医など、

 

寄り添えない例はもっとあります。@bewizyou1 

 

ここでさらに、具体的な「寄り添う」対処法とは?について、いえろき医師からご質問。

 

f.君みたいな子はいずれ大事件を起こさないか非常に心配だと面と向かって言う」についてですが、その患者さんの年齢や状態によって考えなければならないと思います。

発達に凸凹があるタイプや、『ケーキの切れない~』で指摘されている特性のある女の子は、騙されやすいし、周囲に影響されやすいですが、それをそのまま伝えるのが本人にどう影響するかを考えて言葉を選ばなければです。

 

具体的な被害例を挙げ客観的な事例として考えさせたり、

未成年で保護者が信頼出来るタイプなら、保護者に詐欺や搾取に気をつけるように伝えるとか
実際困っていることはありますか等、自覚を促す質問を重ねて気付かせることなど、

本人が無駄に傷つかず生きることに希望が持てる方向でお願いしたいです。

 

e.の「診察場面での過剰適応」タイプの子は、

受診出来る、医師に会いに行けるのは、たまたま奇跡的に身体症状、精神状態が良い時なんです。それ以外の時は瀕死状態でどうやって死ねばいいかをぐるぐる考えていたり、布団から出られない状態だったりします。

そして、受診するのは、どうにか助けて欲しいから。

 

そのまま大丈夫じゃね?と何もなく帰さず、最悪の時の処し方を説明したり、今まで一番大変だった時の状態やそこから今の状態に変わるきっかけは何だったのかを尋ねたり、次回の予約を必ず取ることが必要。

 

思春期なら定期的に小グループか保護者を集めてワークショップ開催するなど家族支援も必要だと思います。@bewizyou1

 

  

私は発達凸凹の子どもの幼児教室をやっているんですが、この仕事を始めたのは、話が成り立ちづらかったり認知処理や知的な問題で躓きやすい子らに寄り添いたかったからです。

 

もともと言語習得を研究していましたが、言語学の分野では、発達障害や認知機能の歪みを考慮しません。言語習得の研究中に長女がうまれ、生後1か月程で、長女の発達障害に気づきました。

友人の紹介で早期に診断してくれる医師を見つけ、生後8か月で自閉症の可能性、10か月で確定診断を得ました。診断したのは、今S大医学部教授のT医師です。

 

その後の育児は過酷でした。心中も考えたことがあります。T医師によると長女は、非定型の自閉症だと。その後3歳の時、別の医師からは広汎性発達障害と診断されました。当時は仕事の関係で広島に引っ越しており、市の発達支援センターの医師が主宰する自閉症児のためのママ会や自閉症協会のSNS、2ちゃんくらいしか情報源や繋がるすべがありませんでした。そのママ会では、傾聴のみで具体的な支援の話はなく、早期療育さえも医師から無駄だと批判されていました。

 

メンバーがその年続けて3件心中事件を起こしました。夏休み中の出来事です。子育ての行き詰まり、ジジババからの責任擦りつけ、夫の責任放棄、将来の不安、母親のワンオペの末の悲劇です。3件の心中事件を目の当たりにして、私は、話が成り立ちづらかったり認知処理や知的な問題で躓きやすい子らにどう寄り添い、具体的な支援をする場が必要だと切実に感じたのです。同じ時期に友人の神戸記者も自閉症の我が子を描いたドキュメンタリーを制作しました。自閉症家庭に心中が多いからです。

 

直後に東京に戻り、当時日本に1つしかなかった米国のABAの事業所に入り、ABAを学びました。我が子を育てながらABAを提供する仕事をしていましたが、自分の子やクライアントと向き合ううちに、 ABAの限界を知りました。いえろき先生がご存知の通り単一アプローチでは多様な子は支援できません。ゆえに認知行動療法のほか、いろいろなアプローチを学びました。認知機能トレ(コグトレ)を知ったのもその過程です。

 

長女は4歳まで意味のある発語がなく大変な幼児期、近所の小児科医や地方の発達支援センターの医師から、話せるようにならない、知的には諦めろと言われました。

しかしながら、2歳で簡単な童謡を耳コピで弾くことが出来たことと、EとFをホワイトボードにビッシリと書き連ねるという行動から、私は長女が楽しんで出来ることを優先して教えることにしました。絶対音感を育てることと好きなアニメを見せることです。4歳過ぎに唸るように歌い始め、エコラリアが出始め、5歳で単語を最初の1音のヒントを与えると発語出来るようになってきました。

クレーンに要求語を乗せること、感情を爆発には落ちつかせて感情に寄り添い気持ちの言葉を模倣させる等で随分と言葉のやりとりが出来るようになりました。幼児期には無理だと言われていたのですが就学時には通常級適応となり、通常級の支援が厚い地域を見つけその中でも少人数の学区を選んで就学しました。

(中略)

地元公立中に進学し、1年の担任は理解もありスムーズでしたが、2年で担任に詰られ中学卒業まで不登校、思春期うつを発症、精神科にかかりましたが、長女が投薬を拒否したり認知行動療法は適応でなかったり医師との相性がよくなかったりで

 

結局、ボイストレーニング専門塾に入れたことが回復のきっかけになりました。歌うことが生きることのような生活が始まり歌うために英語だけ独学で勉強し始めました。歌えるようになってから通信高校の見学に行けるようになり、全日制通信高校に進学しました。

しかし、認知の歪みから人間関係が上手くいかず、うつ再発。月2回だけ登校すれば良い通信高校に転校。転校後、声楽を本格的に学び始めると急激に回復して、先日AO入試で音大声楽科に合格しました。@bewizyou1 

 

長女のケースを語りましたが、

会話が成り立ちにくい知的部分の困難がある子に児童精神科医がどう寄り添うか

  • 未来の希望を断ち切らない
  • あきらめさせ路線に乗せない
  • 見捨てられ不安が強いので見捨てる発言をしない
  • 得意で楽しいことを探す
  • コグトレ
  • ストレングストーク

だと思う。

 

子どもと大人の精神科医さん @yukichildpsy が、プロのシンガーである立場から うちの長女の才能を応援してくれて、ピアノや声楽の先生に繋げて下さったり、不登校保護者会 @hutoukouhgk のメンバーさんとの発達や教育、進学に関する情報交流にささえられ、自暴自棄や自死に繋がらずに今があります。

 

児童精神科医として子どもたちに寄り添うことは、家族に寄り添うことであり、

  • 見捨てない
  • あきらめない
  • 具体的な支援の提示
  • 当事者や家族への言葉選びを大切にして頂くこと
  • 児童精神科医自身が社会的想像力と当事者意識を大切にすること

こんな児童精神科医が増えるととても助かります。@bewizyou1  

 

いえろき先生は、ヤブじゃないですよ。

患者全員にやたら投薬したり不機嫌でマインドコントロール小児神経科医や数万円の自由診療したり母親に監修持ちかける小児科医なんかをヤブというのです。

 

子どもと大人の精神科医さん @yukichildpsy が、寄り添う児童精神科医研修してるので行ってみて下さい。当事者と家族に寄り添える児童精神科医を養成する活動をしておられます。

不登校保護者会でも井上医師にお願いしてストレングストークの学習会計画しようと考えています。@bewizyou1 

 

対話のお相手である"いえろき”さんに合わせて、児童精神科医を想定した内容になっていますが、

会話が成り立ちにくかったり、認知や知的部分の困難、発達障害などから不登校になって困っている子どもたちを支援する方であれば、是非とも知っておいて頂きたいことでもあります。

 

これが私たち不登校保護者会から、支援者の方々へのお願いです。